内装の構造

2019.9 竣工

 賃貸住宅
構造・規模 : 鉄骨造 1,2階店舗 3,4階共同住宅の3階
延床面積 : 39.14㎡
オーナー : 石井秀和(株式会社南荘石井事務所)
施工 : 平岡健太(コーケン)
設計 : 星野千絵(コバルトデザイン), 原﨑寛明(Hi architecture)
写真 : 中村晃

この建物は鉄骨造4階建で、大きな鉄骨のフレームが建築を支え、その中にまた小さな鉄のフレームが建てられて内装を支えています。「建築の構造」と「内装の構造」、このふたつの構造は多くの建築物に共通してあるものです。

一般的に構造と言うと「建築の構造」のことを指しています。「建築物を力学的に成立させるための構造」です。ですが、それだけでは建築はできあがりません。骨組みにプラスして内装の壁や床をつくり、私たちが触れられる空間ができていきます。その内装を支持する間柱なども、自律した「内装の構造」だと言えないでしょうか。今回の改修では、このふたつの構造を捉え直し、どちらも空間をつくる重要な要素として捉えたいと考えました。

まず「建築の構造」である大きな鉄骨柱梁のフレームを合板張りとし、その大きさと位置を浮かび上がらせます。また内装を支える間柱にも同じく合板を抱き合わせ、同等に「内装の構造」として現わします。

室内には大きな柱梁と小さな柱が並び、 ふたつの構造は重なり、部分的には途切れて混じり合い、大きなワンルーム内に濃淡をつくりだします。居場所に合わせた棚板などの造作は、あらわになった内装の構造を頼りにして取り付けることができます。こうして建築と内装の新しい関係性をつくることで、暮らしの楽しさを発見する場所にしたいと考えました。

棚板やデスク、キッチンカウンターなどは壁から少し浮いて付くため、全体に身軽ですっきりとした印象の空間になります。